医療事務員の人件費はただの経費でなく投資

2020/01/02 ブログ

人件費は、経費の中で最も大きなウエイトを占めますが、かといって足りないと毎日の業務に支障をきたします。そして何より今は、クリニックの増加に反して医療スタッフ不足が深刻であります。最悪な場合、スタッフが揃うまで閉院を余儀なくされているところや、先生自らが受付からお会計をしたり、会計徴収ができずに診療だけして後日お会計を頂く(またご来院された人に限りますが・・)ところも実際耳にしますし、珍しいことでもありません。

あれだけ花形の職業ともいわれ、宣伝や雑誌でも題材的に取り上げられていた医療事務員も、今はなり手が少なく、募集をどれだけかけてもあまり来ないのが現状です。また看護師は有資格者である分引く手あまたの状態で、いい環境の所でないとなかなかきてくれません。これからクリニックがどんどん増えていくのに反して、医療スタッフの人手不足が深刻になっていくでしょう。

 

今ギリギリやれている。足りなくなったらそこで考える・・・そう思っているところが殆どです。

しかし一度状況が後手に回ると、ゼロではなくマイナススタートになるため、盛り返すのにかなりの時間と労力がかかります。経営者当人も心配で診療どころではなくなりますが、それより残されたスタッフは、自分も早く辞めたほうがよいのでは?と逃げ腰になり、身の振り方を少しずつ考え始めます。居なくなるときはあっという間です。

そんな状況に無縁の常に安定しているクリニックはどんな時でも先を見据えて環境をつくります。少々人件費がかかっても、何か起こったときの心配や膨大な広告費を考えたら、いい人材を早めに確保して経費を使うことは無駄ではありません。そして普段からのスタッフ補充と育成の経費を惜しみませんので、ある意味一生不安とは無縁の状況を自ら進んで作り上げています。

 

最初にお伝えしたように、人件費はかなりのウエイトを占め、雇うということは一定の金額がかかりますので、なかなか大変だとは思います。しかし、それは目先の金額で考えるのと、質のよい人件費を使って、それ以上のより良い現場を作るための対価であると思うか。経営者の資質が問われます。そして、それが何よりまわりまわって患者様に影響するということを含めて考えて頂きたいと思います。

また、質の良い人材が揃うところは新しい人材も高いスキルで育っていくのと、教える側も時間にも余裕があるのでじっくり丁寧に教えることが出来、確実な育成ができます。したがって、どんどん良い人材が育っていくので、常に安定した医療サービスを提供することができます。

 

医療の現場はお分かりのの通り、誰にでもすぐにできるものではありません。現場の空気になれるのに最低一ヶ月、普通でも3ヶ月はかかります。そしてきちんとすべてができるように育てようと思うなら早くても6ヶ月~1年はかかります。それはどこの部署でも同じです。それを踏まえて普段からの育成心掛けないと、思わぬ退職者が出たときに慌てることになります。

どうか患者様の為に、いつ来てもいい環境で迎える場所であって頂きたいと願います。